福住寺

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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。

月報「なむ」

2025年2月

涅槃会(ねはんえ)

お釈迦様に関わる行事で、以外と知られていないのが二月に勤まる涅槃会です。四月八日のお釈迦様のご誕生を祝う灌仏会(かんぶつえ)(花まつり)はご存知の方も多いと思います。二月十五日はお釈迦さまが八十年の生涯を終え涅槃に入られた、すなわちお亡くなりになったご命日です。お釈迦様のご命日をご縁として勤まる法要を「涅槃会」といいます。

浄土真宗の寺院では涅槃会をお勤めするところは少ないですが、宗派を問わず、世界中の仏教徒にとってはお釈迦さまのお徳を慕い、報恩感謝の気持ちをあらわすとても大事な行事の一つです。この法要ではお釈迦さまの「涅槃図」をかけお勤めされる寺院も多いです。涅槃図には、お釈迦さまが沙羅(さら)双樹(そうじゅ)の下で、頭を北にお顔を西に向けて横たわり、そのまわりには多くのお弟子や菩薩を始め、すべての生き物が最後の時を嘆き悲しんでいる様子が描かれています。俗に言う「北枕」という言葉はお釈迦様のこのお姿が由来となっています。日本では死を連想させることから「縁起が悪い」と言われることもありますがそれは全くの迷信です。

そもそもこの「涅槃」という意味は、わかりやすくいいますと煩悩の火が吹き消された状態、全ての煩悩の炎が消え、安らぎの境地に到ることを言います。しかし、私たちには数多くの煩悩があり、それは物事への執着から生じるものであり、誰もがこの煩悩を抱えているのだとお釈迦様は説かれました。お釈迦様ご自身も自分もまた苦悩する身から逃れられないことに気づき、苦行を経て悟りを開かれた。そして、そんな私たちをお目当てとして救おうとして下さる阿弥陀様のお働きをお示し下さいました。悩み苦しみの絶えないこの私ですが、涅槃会を通して、お釈迦様がおすすめして下さった確かな働きの中にいることを喜ばせていただき、物事に執らわれている自分の心を少し見つめ直してみてはいかがでしょうか。

February 2025 Issue

 

 

光明山 福住寺

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