<< 次号 | 前号 >> |
---|
「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。
月報「なむ」
2024年11月
お給仕(お仏飯)
暑かった夏も終わり、木々もだんだんと色づき始め秋らしい季節になってきました。秋といえば収穫の秋、実りの秋といった言葉を良く耳にします。秋は、お米をはじめとする穀物や果物などの収穫が多くなる恵の季節であることからそのように呼ばれているそうです。8月後半頃には「令和の米騒動」と呼ばれた米不足がニュースになりましたが新米の時期となり、今では以前と同じようにお米が買えるようになりました。お米は私たちにとっての主食であることはもちろんのこと、私たち門信徒にとってはお仏飯としてお供えする、仏さまへの荘厳になくてはならないものの一つです。
しかし、お仏飯としてお供えするお米は仏さまや亡くなった方への食べ物としてお供えするものではありません。お浄土では、いつでも豪華な御馳走が用意されており、たとえそれを口にしなくても、目で見て、香りをいただくだけで満足するとお経に説かれています。だから、こちらから食べ物を準備する必要はないのです。お仏飯とは私たちがあらゆるいのちを頂くことで、生かさせて頂いていることへの感謝を表し、昔からの主食であるお米をお供えするものです。
食べ物への有難さを表すためのお仏飯ですから、お供えした後に、あまり長く置き粗末にしてしまうと、本末転倒です。なにより仏さまを粗末にすることにもなるでしょう。ですので、朝お供えしたら昼頃にはさげて、おさがりとして頂きましょう。
この日々のお給仕を続けることによって改めて尊いお恵みがあることが決して当り前ではないことを再確認することができる、それがそのまま仏さまへのご恩報謝にも繋がるのではないでしょうか。
November 2024 Issue