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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。
月報「なむ」
2024年8月
浄土真宗とお盆
お盆は、日本の大切な行事のひとつです。一般的にはご先祖を迎え供養する期間であると聞くことが多いかもしれません。正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、お釈迦様のお弟子である目連尊者( もくれんそんじゃ )が亡き母を供養した話から生まれ伝えられたものです。人一倍母を大切にしていた目連尊者が親の恩に報いたいと、神通力( じんずうりき )(超能力的な不思議な力)の目をもって、亡き母の行かれた世界を見ると、母は餓鬼道( がきどう )に堕ち苦しみの中にあることを知りました。そんな母の姿を見た目連尊者は嘆き悲しみ、お釈迦さまにどうしたら母を救うことができるかを尋ねられました。すると、お釈迦さまは「修行僧たちが雨季の勉学修行が終わる日、修行僧や苦しみに遭っているもののため精一杯の布施をしなさい。さすれば母も救われるでしょう」と仰せになられました。そして目連尊者がその通りにすると、母は餓鬼道の苦しみからのがれることができたのです。
このエピソードを起源に、夏の雨季が終わる頃は「盂蘭盆会」として先祖を供養する行事となったそうです。しかし、浄土真宗のお盆とは亡き方を供養するための期間ではなく、亡き方をご縁として今を生きる私たちが仏縁に出逢わせていただく期間です。先に往生していかれた亡き方は仏様となっていつでも私のそばにおり、いつも私を見護り、導いて下さっています。その思いを聞かせていただくことによって改めて日々の生活を見つめ直し、自分自身を振り返ることができるのではないでしょうか。お盆を迎えるにあたって、どうぞ大切な皆さまと共に先立たれた方々のご恩に感謝し、お念仏を慶ばせていただきましょう。
August 2024 Issue