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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。
月報「なむ」
2023年10月
十方(じっぽう)微塵(みじん)世界(せかい)の 念仏の衆生をみそなはし
摂取(せっしゅ)してすてざれば 阿弥陀となづけたてまつる
(親鸞聖人 浄土和讃)
近年はデジタル化が進み私たちの生活も便利になってきました。今では当り前のように車に搭載されているカーナビもその一つかと思います。目的地を設定すれば今いる現在地から行きたい場所にどこであっても連れて行ってもらえる。大変便利なものかと思います。しかもカーナビには音声機能がついており声でも案内してくれます。車を運転している時ずっとカーナビの画面を見ているわけにはいかないので「次の信号を直進」「次の信号を右方向」と音声で案内してもらえるのはドライバーからすると大変有難いことです。しかし、そこまでしっかりと案内してもらっていてもうっかり道を間違えてしまったり、案内とは違う道を勝手に進んでいき迷子になってしまうというようなこともあると思います。だだ、もしそのようなことになったとしてもすぐに新しいルートを検索し、必ず目的地までの正しい道にもどしてくれるという機能がカーナビにはついています。案内してくれるものがないとすぐに道に迷ってしまいそうな私ですが、そんな便利なカーナビのおかげで最終的にはしっかりと目的地まで到着することができるのです。
私の歩む人生も同じことが言えるのではないでしょうか。
浄土真宗ではお浄土こそが人生の目的地であり、そこに導いてくださっているのが阿弥陀様のお働きであると教えていただいております。しかし、その目的地に一度も迷うことなく一度も道を間違えることなく到着することができないのがこの私なのです。ここで言う迷いとは言葉の通り道に迷うということではなく迷いとは自分自身の中にあるものと言えます。自己中心的に物事をとらえてしまい、目的地に向かうどころか自らの計らいにまかせ自分勝手な道を進んでいる。加えてその迷いにすら気づくことができない。
阿弥陀様は、そんな私だからこそ何とかしたいと働きかけてくださっている。阿弥陀様は決して「迷うな」とは言われない、「迷っておるぞ」と気づかせてくれる、確かな道へと導いてくださるのが阿弥陀様の呼び声なのです。どれだけ迷ってもいい、安心して迷っていける世界が阿弥陀様に導かれているお浄土への人生なのです。どんな私であっても決して見捨てることなく願い続け働き続けてくださる阿弥陀様のお心に感謝をさせていただきながら日々の生活を送らせていただければありがたいことではないでしょうか。
October 2023 Issue