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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。
月報「なむ」
2023年8月
老いを敬う
「敬老とは 自らに刻々と 与えられる老いを敬うことです」(眞城義麿)
私たち長く生きれば必ず高齢者になります。
元気な人もいますが、心身に何らかの不自由が生じ、生活に不安や不便を感ずることが多くなり、その状態は自分の望む姿から遠ざかるように思えます。
高齢の方が自ら「年をとってつまらんようになった」と自嘲気味におっしゃることの裏には、与えられた厳しい現実は自分が生産や利益を生み出さないつまらない役に立たない者になったとの自分の存在価値の喪失感が感じられます。
しかし、老いを必然とする私たちが、老いから目をそらすことは、人間にとって大変大切なことを見失うことになります。老いも病も死も私たちに一人ひとりが人間として成熟するのに必要な、大切なご縁(呼びかけ)です。我が身の老病死を与えられて初めて目を覚まされることがあり、世界や人間の価値や意味が明らかになるということがあるのでしょう。
若いときに気づかなかったことが、老いることで気がつくことが沢山あるでしょう。自分の小さな殻に閉じこもりがちになる私たちに仏様のみ教えは本当の姿を教えて下さり、老いも病も死も大切なご縁である事を教えてくださいます。
August 2023 Issue