福住寺

文字サイズ


「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。

月報「なむ」

2020年11月

人生に やり直しは 利かないけれど 見直す チャンスは ある

感染症予防にあたり、僧侶がマスクを着用して読経するなど思いもよらない事態となりました。その影響は、声を響きにくくさせ、発声や呼吸の息苦しさなどに戸惑いを感じさせるものです。お互いの意志が伝わりにくい面もありますが、口もとに適度な湿度が保たれて「のどを痛めることが少ないのかもしれない」という利点にも気づかせるものです。

あるご門徒様は、60年ほど前に行われた葬儀を思い出されたそうです。近所の人が感染症で亡くなり「すぐに葬儀を出す」ということになった。しかし、お手伝いの町内会の多くの人に下痢などの症状が出て隔離され「充分な看病もされずに亡くなった人のことを思う時、とても悲しいあわれなことで、思い出せば涙が出る」と話して下さいました。

感染の怖さからくる長期の外出自粛は、運動不足など刺激のない生活に陥りやすく、会話をする機会が少ないと、ストレスで心や体が疲れたり弱ったりしている方も多いと聞きます。

人は人に支えられ、関わり合うことで成り立ち「何気ないおしゃべりから、エネルギーを得ていた。お寺参りが生き甲斐であった。元気をもらっていた」などと気づかされた方は多いのではないでしょうか。

いのちを大切にするのは言うまでもありませんが、感染に気をつけ、活動の幅や行動を少しずつ増やしていく段階にきているのかもしれません。精神的な支えとして、お寺の法要や行事へ出向くことや、僧侶がご命日に各ご家庭へ伺いお勤めすることの意義深さを感じます。

人生をやり直すことはできませんが、生き方を見直すチャンスが与えられています。改めて、いつでもどこでも孤独にさせない仏さまがいて下さることを思い、お念仏申す生き方を大切にして参りましょう。

お互いのいのちや、身近な方々のいのちを守る為、各ご家庭でのお参りにも、マスクの着用、感染予防対策に引き続きご協力下さいますようお願い申し上げます。

November 2020 Issue

光明山 福住寺

札幌市豊平区福住1条1丁目3番1号
TEL:011-851-8654